論文が Plant Molecular Biology に掲載されました。(2026.3.26)

当研究室の研究成果が、国際誌 Plant Molecular Biology に掲載されました。

本研究では、植物が放出する揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds; VOCs)によって誘導される高温耐性の仕組みを、モデル植物 Arabidopsis thaliana の自然集団を用いて解析しました。その結果、従来高温ストレス応答の中心的転写因子と考えられてきた HSFA2 が強く誘導されなくても、高温耐性が成立する系統が存在することを明らかにしました。

さらに、自然集団間の比較解析により、VOCによる高温耐性は単一の遺伝子ではなく、遺伝的背景に応じた複数の分子メカニズムによって制御されていることが示されました。RNAシーケンス解析からは、防御応答、酸化ストレス応答、解毒代謝などに関わる遺伝子群が系統特異的に活性化されることも明らかになりました。

今後の展望

本成果は、植物が空気中の化学シグナルを感知して将来の高温ストレスに備える仕組みの理解を深めるものです。また、遺伝子組換えに依存しない新しい耐熱性作物の開発や、気候変動下における持続可能な農業技術への応用が期待されます。

Natural variation uncouples HSFA2 induction from volatile-induced thermotolerance in Arabidopsis thaliana
B. R. Barbaruah, S. Feng, S. Chen, H. Ito

Plant Molecular Biology
https://doi.org/10.1007/s11103-026-01704-y
Published: 26 March 2026